マイナンバーカードでバス乗車「便利!」 高知県中土佐町で実証実験

中土佐町で2日、65歳以上や障害がある住民が無料で利用できるコミュニティーバスの乗り降りにマイナンバーカードを活用する県の実証実験が始まった。従来は紙の利用者証で乗客を確認し、乗客は乗降場所を書いた利用報告書を提出する必要があったが、実証実験ではマイナカードを車載の読み取り器にタッチするだけでバスに乗り降りできるようになる。

県によると、マイナカードをタッチして利用情報を管理するバス乗降の取り組みは全国初。町はコミュニティーバスの運行を民間のタクシー会社などに委託しており、65歳以上の住民らには町が運賃を肩代わりする形で無償化する「バスパス」事業を実施している。

マイナンバーカードを車載器にタッチしてバスに体験乗車する住民(中土佐町役場)

実験では、利用希望者が所持しているマイナカードに、マイナンバーとは別の固有IDを付与。乗降時に車載器にタッチすることでID番号や乗車区間などがクラウドサーバーに送信される。運賃も自動計算で町に請求されるため、町が運行を委託している民間事業者の事務負担も大幅に軽減される。

この日は、池田洋光町長や住民らが役場前からJR土佐久礼駅まで、マイナカードを使っての乗車を体験。車載器に2秒ほどかざすとピンポーンと音が鳴り、体験した同町久礼の坂本宝子さん(71)は「便利!」と感激した様子で、「買い物で須崎へ乗り継いで往復するのに、揺れるバスの中で4回、降りる場所を書かないかんかった。もうボールペンを持っていくによばんね」と喜んでいた。

池田町長は「高齢者や障害がある人にとって画期的。公共交通の利用促進にもつながり、コミュニティーの存続にも欠かせない」と期待を寄せた。

町によると、バスパス利用者1074人のうちマイナカードでの乗降手続きを済ませた人は9月末時点で443人(41・2%)。当面は紙での乗降も継続し、12月からは須崎市と四万十町方面行きの路線バスでも実証を始め、来年3月までシステムの運用などを検証して本格運用につなげる方針。(蒲原明佳)

※こちらの記事は高知新聞社の記事内容から引用させていただいております